デキャンタージュはデキャンターにワインを入れ替える行為
よく、ドラマなどでワインをガラスの花瓶のようなハクション大魔王の壺のような(年代が・・・^^;)別の容器に移しているのを見たことがあるかと思います。
あの容器をデキャンタやカラフェ(水差し。いわゆるピッチャーですね)といい、移し替える行為をデキャンタージュとかデキャンティングなどと呼びます。
熟成とは?
デキャンタージュの話の前に熟成について少し説明しておいた方が良いのかと思います。
ワインは通常熟成させてから出荷します。その熟成には大きく二通り、樽(タンク)熟成と瓶熟成があります(ザックリと、樽を使うのは樽の香りやタンニン分をワインに含めるため、タンクを使うのはブドウ本来の香りと成分を活かすためといえるでしょう)。またザックリいうと、樽(タンク)熟成はある程度酸素と共に熟成するので、酸化の熟成と言えます。半面、瓶熟成は瓶の中に残る酸素は少ないため、ほとんど酸化は起こらず、還元的熟成と呼ばれます。中学生くらいに理科の実験で勉強したかと思いますが、酸素と炭素が結合して(燃えて)二酸化炭素と水が出来て、逆に水と二酸化炭素から酸素が・・・とかってやつみたいなかんじです。
そして、酸化の熟成も還元の熟成もワインに変化をもたらせます。そして、一般的にワインの熟成というと、どちらかといえば瓶熟成、還元的熟成を指すケースが多いです。
ブドウを摘んで発酵させワインが出来ても、そのままの状態では酸っぱすぎたり渋すぎたりとか、美味しく飲めるような状態でないため、熟成させることによりバラバラのバランスの味を調えるという意味合いがあります。
デキャンタージュは急速熟成
一言ではそういうことになるでしょう(後述しますがもう一つの理由があります)。デキャンタージュをすることによって、多くの空気に強制的に触れさせ、まだ熟成が進んでいないワインでも、熟成の時間を早めて飲み頃にしてしまおうという、タイムマシンみたいな発想です。しかし、厳密には酸化の熟成と還元の熟成は違うので、味や香りの変化の仕方も違います。リリースから10年経ったワインを飲むのと、まだ3年しか経っていない同じ銘柄のワインを、デキャンタージュを繰り返しても同じ味にはなりません。
ただ、10年後に飲み頃のピークのワインを7年後に開け、デキャンタージュし、自然に空気に触れさせ、10年経った味に近づけることは出来るので、あくまでも補助的に熟成を進めるという考えの方が良いでしょう。
また、そもそも時間がかかることを早めているので、短時間に何度もデキャンタージュを繰り返して急激に変化を進めるよりも、ゆっくり空気に触れさせ、少しずつ時間を進めていく方が、熟成の効果に近づけられるでしょう。
オリを取り除くデキャンタージュ
もう一つのデキャンタージュの目的は、ワイン内に溜まったオリを除けることです。こちらの目的は科学的なこととか何もなく、そのままの意味で、ワインは瓶熟成することによって、ワイン中のタンニン(渋みを感じる成分に多い)が固形に変化し沈殿していきます。
渋みの強さやブドウ品種にもよりますが、5~10年くらい経ったワインは大抵は瓶内にオリがでています。溜まったオリは渋みを多く含む成分なので、それを取り除くことで、熟成したワインは渋みがとれてまろやかになるというわけです。
若いワインはデキャンタージュを
オリを取り除く目的はやった方が良いのは言うまでもないとして、基本的に若いワイン(飲み頃を迎えていないワイン)はデキャンタージュすることをオススメします。
赤ワインはよっぽど安いクラスのワインでなければ、少なくても2~3年くらいは熟成出来るものですし、白でもコクのあるものはデキャンタージュして美味しくなるものはあります。
一口飲んでみて、ちょっと堅さやとげとげしさがあるなとか、酸味や渋みが強すぎるなって場合はデキャンタージュしてみて下さい。もちろん、その後数時間おいた方が良いかもしれません。ワインにもよりますが、デキャンタージュしていないワインとしたワインとを飲み比べてみるとすぐ違いがわかると思います(もちろんワインにもよります)。
是非一度お試しください。