ワインと料理の関係(ワインと料理の合わせ方)

ワインは一般的に食中酒とされていて、料理と一緒に楽しむお酒というのが一般的なイメージでしょう。また、そのようなイメージがワインを難しく、取っつきづらいものというイメージを与えているのかもしれません。

今日は、ワインと料理の合わせるポイントなどを目安としてお話ししたいと思います。ワインの味にも好みがあるように、ワインと料理も好みが多分に影響しますので、あくまで参考として捉えて頂けると良いかと思います。

個人的には、料理とワインを合わせるのも楽しみ方の一つだし、相性を考えず好きな料理、好きなワインをそれぞれ楽しむのも一つだと思っているので、どちらかに合わせることにこだわるあまり、あまり飲みたくないワインや好きでもない料理となってしまうくらいなら、いっそのこと相性など考えず、好きなもの同士を楽しむ方が良いという考えであることを先に断っておきます。

一般的に定番といわれる無難なパターン

まず最初に、いわゆる定番といわれる無難な合わせ方を紹介しましょう。

軽めの料理には軽いワイン、濃厚な料理には濃厚なワイン

あまりこだわらないのであれば、この程度の認識で良いかなと個人的には思います。

味の薄いものには軽い味わいのワイン、濃い味付けのものには重いワインというのが、最もポピュラーで無難な考え方です。料理の味の濃さとワインの重さがバランス良くなるような組み合わせであれば、それほど外すこともないでしょう。

料理の色とワインの色を近くする

同じように、色合いで考えることもできます。

白ワインは軽快で爽やかな白ワインほど透明に近く、重みのあるものや熟成しているものほど黄色やオレンジ色が入ってくるのが普通です。赤ワインでも、色の薄い赤ワインは軽く、濃厚なワインほど色も濃くなってくるのが普通です。料理でも味の薄いものは色も薄く、色の濃いものは味が濃くなるものが多いでしょう。

そのため、料理の色調とワインの色調を合わせるという合わせ方もよく見られます。

コース料理は味の薄いものから濃いものへ

たとえばコース料理では、最初はサラダやカルパッチョなどのドレッシング程度の味付けの前菜から始まり、スープや魚料理、肉料理と、だんだん味の濃いもの、脂の多いものへと進んでいくと思います。ワインも同様に、スパークリングワイン、白ワイン、赤ワインと味の濃いもの、色の濃いものへと進んでいくのが一般的とされています。

これで済ませてしまうと話が終わってしまうので、もう少し細かいところをお話ししたいと思います。

味覚の要素を考える

と書くとちょっと難しそうですが、ワインと料理がそれぞれどういう味わいが強いかで考えると、比較的失敗が少ないです。

ワインの味覚の要素

ワインの味の感じ方を分類すると、おおよそ、「酸味」「甘み」「渋み」「苦み」「果実味」の5つの味覚に分けられますが、5つにハッキリ分かれるわけではなく、重なり合ったような部分もありますので、「酸味」「甘み」「苦み(渋み)」の3つで考えても良いかもしれません。

この5つ(3つ)の要素を料理とワインの味わいから考えると、さほど難しくないと思います。

同じような味わいを合わせる

僕が「料理に合うワインを」と言われたときに、料理の味と似たような味わいがあるワインを選ぶことが多いです。

その料理の中で強く感じる要素や、2番目に強く感じる要素を持ったワインを選びます。

たと えば、イタリアンドレッシングを使ったサラダや、レモン風味のマリネなどには酸味のある白ワインやスパークリングワインといった具合です。また、肉には赤 ワインというのが一般的ですが、上品な脂身を持つ和牛のタタキやローストなどには、少し甘みのある(脂身に甘さがあるので)白ワインでも決して合わなくは ないと思います。

また、炭火焼のような苦みのある料理には、味の濃さと重さの差が大きくならない程度に渋みや苦みの感じる赤ワインを合わせるのも良いと思います。

この方法で考えると、異なる料理2品に1本のワインを合わせることも可能になってきます。

たとえば、白身魚のマリネと肉じゃが(すごいイレギュラーな組み合わせw)を合わせるとします。マリネは酸味のある料理で、肉じゃがは甘さを感じる料理です。どちらも味は濃くないので、酸味があり、甘さも少し感じるような白ワインであれば、どちらの料理にも対応できると思います(試してませんが・・・)。

足りない要素をワインで補う

もう一つの考え方が、料理の味覚と別の味覚を感じるワインを合わせる、たとえば酢や柑橘系の味のある料理に、甘いワインを合わせるというように、5つ(3つ)の要素で料理にない要素を持ったワインを合わせる考え方です。

基本的には酸味が強い料理に甘みや渋みが強い要素のワインを合わせるというような、料理の強い要素に対してワインの別の強い要素という別の強い同士や、料理にはほとんど感じない要素を比較的強く持つワインをというようにないものを補うように合わせます。

このパターンで、先ほどのマリネと肉じゃがに合わせるなら、酸味や甘さ(フルーティさ)が少なく、渋みが強めなボルドーの日常用ワインとなるでしょうか(やはり試してませんが・・・)。

合わない組み合わせ

このように味覚の要素で考えると、「結構なんでも合わないことないんじゃん」と思うかもしれませんが、そうなんです。そんなに気にすることはないんですよ。ただ、やっぱり合いづらいものもあります。

では、どういったものが合わないのかというと、よく言われるのが「一部の味の要素が強すぎるもの」や「生臭いもの(鉄分が多いもの)」などは合わないようです。

先ほどの足りない要素を補う話も、一つの要素が突出しすぎてる場合は合わないようです。たとえばほぼ酢の味しかしないとか、非常に辛いとか、そういったものはワインでバランスを取りきれないので負けてしまいます。ただ、この辺りも個人差があり、好みの問題なので人それぞれであったりもします。

あとは生臭い系のもの、魚の卵や内臓系は合わないようですね。刺身などは刺身そのものより醤油が合わないとも言われます。このような場合はレモンを搾ったり、オリーブオイルやバターで調理すると解消されることも多いです。

結局は好みの問題

元も子もないようですが結局は好みの問題で、最初に話した通り相性ばかり気にするくらいなら、好きなものを食べて好きなものを飲む方がストレスは少ないと思います。ワインは楽しく飲むことを最重要にするのが一番だと思います。

不思議と合う? 意外な組み合わせ

先ほどの合わない組み合わせのところで、味の一要素が強すぎるものの話をしましたが、ワインを飲むときの個人的に好きなつまみがあって、大根おろしにポン酢や酢醤油をかけたものがやや渋めの赤ワインに良く合います。また、ぬか漬けなどの漬け物も結構合うし、ショウガをかじりながら赤ワインを飲んだりもします。酢はワインに合わないとよく言われますが、僕は重くない赤ワインや白ワインは結構合うように思います。

また、結構やるのがスイーツを食べながらワイン。ケーキやチョコレートなどの甘い物は甘いワインにはもちろん合うし、程よい酸味のフルーティなワインにも良く合うと思います。また、酸味のあまり強くない赤ワインでも合うと思います。

そして意外と言われないのがフルーツ。元々がブドウなのでブドウは当然として、フルーツとワインは結構なんでも合います。

結局は好みの問題かもしれませんが、その時その時でワインを楽しく飲むことが最優先だったり、料理を楽しむのが最優先だったりするわけで、その中でお互いを引き立てるような相性ならもっと楽しくなれるというだけで、相性を最優先にするのはなんか違うような気はします。

「基本はこうだから」とか、「魚には白、肉には赤が常識だから」とか、そういったことにとらわれずに、まずは料理を楽しむ、ワインを楽しむという姿勢で気軽にワインと料理に向き合ってみてはいかがでしょうか。