レストランやワインバー、居酒屋などにある「ハウスワイン」とは?(ワインに力を入れている店、そうでない店)

最近はフレンチやイタリアンのレストランだけでなく、居酒屋などでもワインを置くお店が増え、ワインバーもよく見られるようになってきました。

お店のメニューで「ハウスワイン」というのをよく見かけます。

ハウスワインは、そのお店がワインに対してどういう姿勢でいるのかを垣間見ることが出来ます。

最初に頼むのはハウスワイン?

いや、最初はビールなんですけど(笑)。初めて行ったお店では、僕はワインの最初はハウスワインを頼みます。

ハウスワインとは?

昔はフランスやイタリアなどのワインの生産が盛んな地域は、各家庭で飲むワインを自分で造っていた家庭も多かったようです。まさにハウスワインですね。

ハウスワインとは、「家の(お店の)」ワインという名が付いていますので、単純に考えれば、家(お店)にお客さんが来たときに、「とりあえずこれ飲んでよ。」って出すワインです。「とりあえずお茶を」みたいな感じですね。

知り合いの家や会社にお客で行ったときに、とりあえず出てきたものがまずかったら、その家や会社の印象ってどうなりますか。逆にすごい美味しいものが出てきたらどういう印象になりますか?

そのように、ハウスワインとはお店にお客さんがいらしたときに、「最初にササッと出すワイン」ということが出来ます。

ハウスワインは居酒屋の「お通し」

居酒屋で言うと「お通し」に当たります。もちろん、「お通し」は頼まなくても出てきますが、高価なものではなく、ホントにちょっとしたもので、いわば最初の顔見せです。

「お通しでそのお店の実力がわかる」とよく言われますが、ちょっとした、手をかけていない料理で美味しいものを出すことをちゃんと考えているお店は、他の手をかけた料理は間違いないだろうという考えですね。

ハウスワインとはちょうど、「お通し」と同じようなものです。

ハウスワインは「安く」でも「美味しく」、「店の顔」として置けるワイン。

人間は第一印象が大事といわれるように、そのお店にはじめて来店し、何も知らなくても、お通しが美味しければ、そのお店の印象は良くなります。ちょうどワインでその役目を果たすのがハウスワインです。

ハウスワインとは「安くて美味しい、お店の料理に合いやすいワイン」

ハウスワインは本来、お通しと同様に、「お店の実力が現れるワイン」と思ってます。

ワインをよく知らない方でも、安くて美味しいワインであればそこそこ満足して頂けるだろうし、お店側でも、ハウスワインを飲んでもらって、もっと渋いワイン、もっと濃厚なワインとか、次のワインを選ぶ基準にできます。

つまり、「安くても美味しく、料理の邪魔をしない(個性が強すぎない)ワイン」と言え、そういうワインを選べる実力があるということで、コストパフォーマンスの良いハウスワインを選べるお店は、他のワインのセレクトも良いと言え、ワインに力を入れるのであれば、ハウスワインに力を入れない理由が僕には全くわかりません。

ハウスワインに力を入れる店、そうでない店

しかし、残念ながらハウスワインを単なる安ワインにしているお店も多いです。

それどころか、ワインにそこそこ力を入れているお店でも、ハウスワインに力を入れていない店はあり、とても残念に思った経験もあります。ハウスワインをちゃんと選んでいるお店と、どうでもいいお店の二通りのお店があると思います。

ハウスワインに力を入れていないお店

これはホントに自分の主観ではあります。ワインバーでも「ハウスワインは適当ですよ」と言われたこともあり、以下のそういうお店がどういうお店なのかは、完全に自分の主観と想像で書きます。

ハウスワインに力を入れていないお店は、「ハウスワインの意味がわかっていない」か、「ワインは好きだけどお金をいっぱい使ってもらいたい」のどちらかかなと思います。クドいようですが僕の主観です。

「意味がわかっていない」お店は単純に安いワインで選んでると思いますが、後者の方は、おそらく、「ハウスワインじゃなくてもっと高いワインを飲んでくれよ」という心の声が聞こえるような聞こえないような…

ただ、「ワインの味がわからない(こだわらない)なら安いハウスワイン、ワイン好きなら良いワインを飲んでよ」という声も聞こえるので、一概には言えないんですけどね。

ハウスワインに力を入れているお店

こういうお店も二通りで、「ワイン好きのワインバカ(褒め言葉)」か「ワインとお店のことを客観的に考えているお店」のどちらかかと思います。(しつこいですが主観です)

自分がお店をやるのであれば、ハウスワインは誰が飲んでも美味しいと思えるものにします(実際はそんなのありえませんが)。そのうえで安く提供できるワイン。

お店で出すには、仕入れた値段にいくらかのサービス料などを足して売値にします。安いワインは美味しくないのが当たり前で、高ければ美味しいのが当たり前。それでも安く提供できるワインで、美味しいと思ってもらえるワインは、本当に探すのが難しいんです。

で、前者の「ワイン好きのワインバカ(褒め言葉)」のお店は、ハウスワインに限らず、その他のワインも安く提供しようとしています。美味しいワインをみんなになるべく安く飲んでもらいたいという人が多いので、全体的にコストパフォーマンスが高いと言えますね。

後者の「ワインとお店のことを客観的に考えているお店」は全体的に広い幅で安いワインから高いワインまでラインナップに置いているお店が多いです。そういうお店はワインに対しての知識が豊富で、信頼できるお店と言えるかもしれません。このようなお店なら、安くて美味しいワインから高価でやはり美味しいワインを置いているお店が多いですかね。

ハウスワインのあとは?

というわけで、メニューにハウスワインがあったら、是非、ハウスワインはどんなワインですか?と質問してみて下さい。

サッと答えられない場合は、その店はハウスワインに力を入れていないお店でしょう。

「スペインのワインです」など、産地だけでもすぐ答えられれば、恐らくハウスワインをちゃんと選んでいると思うので、「どんな味ですか?」などと聞いてみるのも良いかもしれません。

そこまで答えられるお店であれば、その後のワイン選びはお店にお任せして良いと思います。