白ワインは冷やして?赤ワインは常温?(ワインを飲む温度)

赤ワイン

一般的に赤ワインは常温で、白ワインは冷やして飲むといわれますが、誤解されている部分も多くあり、一概にそうともいえません。

「常温」とは「常温」のことではない

よくいわれる「常温」のところが多くの人が誤解している部分でもあります。

フランスの常温

ワインでいう「常温」とは、17世紀頃のフランスの平均気温のことを指します。おおよそ14~17℃くらいがこれにあたります。

なので、日本の常温では温度が高すぎ、特にレストランや居酒屋さんなどでは、空調により一年を通し20℃前後くらいに調整されているので、店内にそのまま保管しているようなお店は注意してください。ワインに最適な「常温」の室内では、少し肌寒く感じる温度なので、レストランでその温度では楽しく食事をすることは難しいでしょう。

赤ワインは常温、白ワインは冷やすの意味

人の味の感じ方

ワインの適温の話の前に人間の味覚の感じ方の話をしましょう。

ワインの味の要素は主に「甘さ」「酸味」「渋み(苦み)」となります。

「酸味」は比較的温度によって感じ方が変わらないと言われています。冷たい柑橘系のアイスやジュースは酸っぱく感じますし、暖かい酢を使った食べもの、たとえば酢豚などは酸っぱさを感じると思います。

「甘さ」は温度が低いと感覚が鈍くなります。キンキンに冷やしたコーラはサッパリしててごくごく飲めるのに、放置して温度が上がったコーラは甘ったるく感じた経験のある方も多いのではないでしょうか。

同様に「渋み」も温度によって感じ方が変わります。「渋み」は「甘さ」と逆に温度が低いと強く感じ、温度が高くなると感じにくくなります。

この温度による感覚がワインを飲むときの温度のヒントになります。

白ワインは冷やす理由

白ワインはブドウを搾るときに種と皮を取り除いて搾ります。

赤ワインに見られる「渋み」は、主に皮と種に多く含まれるタンニンという成分に含まれます。皮と種を一緒に搾らない白ワインはタンニンが少ないので、渋みも少なくなります。渋みが少ないので、温度は低めで飲むというのが基本になります。

白ワインは「渋み」についてあまり考えなくてよいので、「甘さ」と「酸味」で温度を決めます。

甘いワインは冷やし気味に、コクのあるものは温度は高めで

と一言でいうとこうなるのですが、甘さのあるワインは冷やし気味に少し甘さを抑えて飲める温度が良いでしょう。その際に、酸味がどのくらいかでどのくらい冷やすかを考えると良いです。酸味と甘さがちょうど同じくらいに感じる温度が飲み頃の温度と言えるでしょう。そうなると5~10℃くらいで調整するのが良いと思います。

また、白ワインでもコクのあるボディのしっかりしたものがありますが、そのようなものは比較的甘さが少なく、樽で熟成しているようなものには通常よりタンニンが多くなりますので、少し温度が高めの方が香りのバランスが良くなります。このようなワインでは10~15℃、あるいはもう少し温度が高めで美味しい白ワインもあります。

赤ワインはやはり常温?

赤ワインの場合も基本的に同様の考えですが、赤ワインでは「渋み」も考える必要があります。しかし、比較的「甘さ」が多いものは「渋み」が少なく、「渋み」が強いものは「甘さ」が少ないことが多いので(「渋み」が強くて「甘さ」も感じるものもありますが)、「甘さ」(フルーティ)の方が強いか、「渋み」の方が強いかで、「甘さ」と「酸味」を合わせるか、「渋み」と「酸味」を合わせるかを考えると良いと思います。

イタリアの南部やチリなどの暖かい地方のワインによく見られる、フルーティで甘さを感じる赤ワインは白ワインくらい冷やして、10℃前後位で飲むのが良いでしょう。温度が高いと甘ったるく感じて飲み飽きてしまうと思います。

フランスのボルドーのワインのように渋みが強いものは14~17℃くらい、少し熟成が進んでまろやかになってきたものはもう2~3℃高くても良いかもしれません。

味の傾向に応じてお好みで

最後に身もふたもないことを言いますが、結局は飲む人の好みで良いと思います。ただ、ワインは飲む温度によってかなり味の変わる飲み物なので、いろんな温度で試してみることをおすすめします。

ただ、ここで書いたことはおおよそ失敗しない飲み方なので、試してみてください。

なかなかベストな温度というのも難しいので、やや低めの温度で飲み始め、室温で自然に温度が上がるのを待ちながら飲むのが良いと思います。また、逆に少し高めの温度から飲み始め、ワインクーラー(バケツなどに氷水をいれたもの)で冷やしながら飲んでも良いかもしれません。

是非、温度で味の変わる飲み物を、いろいろな飲み方で楽しんでみてください。